飽食の時代。われわれは、どこまで便利で安価なものを追い求めるのか。大量生産・大量消費モデルを追求した農業のみならず、循環型農業や都市農業など、もっと多様な形があっていいはずだ(KAZUHIRO ISHIZUKA) 「編集で忙しいと思うけど、少しだけでも参加してみて。面白い人たちが来るから」 今年1月、旧知の仲で、日本に「スローフード」の概念を広めた作家の島村菜津さんから小さな勉強会のお誘いがあった。場所は西武池袋線石神井公園駅近くの「PIZZERIA GTALIA DA FILIPPO」。全国各地の選りすぐりの食材を用い、イタリアの郷土料理を提供する人気店だ。 ここで私は、ベトナムで現地の人たちと試行錯誤しながら、乳牛も育てる有畜複合の循環型有機農園を設立した濱周吾さんに出会う。しかも近年では、有機農業の〝価値〟を社会に還元しようと、さまざまな活動をしているという。濱さんの原動力は何か、ベ