27日に亡くなった米国の作家J・D・サリンジャー氏は、代表作「ライ麦畑でつかまえて」に殉ずるかのように半世紀以上公の場に姿を見せず、「伝説」を生きぬいた。 世界中の若者の心をつかんだ永遠の青春小説「ライ麦畑でつかまえて」(1951年)は、高校を中退した16歳の少年ホールデン・コールフィールドの目を通して、大人社会の「いんちき」を告発した長編だ。若者のバイブル的な存在となる一方で、反抗を促すと批判も出て、禁書とする学校や図書館が相次いだ。 作家の村上春樹さんは「翻訳夜話2」のなかで「(大事なことは)『キャッチャー』を読んだ多くの(おそらく数百万という数の)青年たちが『自分は孤独ではないんだ』と感じたという事実だ」と書いている。 80年に歌手ジョン・レノンが殺害された時には、射殺犯が愛読していたことでも話題になった。日本でも野崎孝訳がロングセラーになっており、多くの表現者に影響を与え、映