→紀伊國屋書店で購入 本書では、「日本近海のまぼろしの島々について、その〝誕生〟から〝消滅〟までの経緯を追い、それを通して、近代日本の「南進」の一側面を見てゆく」。だが、著者、長谷川亮一は、「あとがき」で、「じつのところ、最初からこのような形でまとめることを意図していたわけではない。当初は、日本近海の幻の島列伝、といった形でまとめようとしたのだが、登場する人物や実在・架空の島々などが複雑に錯綜しているため、それぞれを切り離してしまうとかえってやりにくい。そのため、なるべく時間的な順序に沿う形で話をまとめてみたのである」と述べている。 本書では、西洋史でいう「大航海時代」に「発見」された日本近海の島々の話からはじめ、近代国家日本が成立していく過程で、「一攫千金を夢見る冒険商人たち」を絡めながら、領域を画定していった様子を描いている。その概略は、つぎのように年代順にまとめられている。「北方の境
