きわめて重要な著作。いまの日本を生きるうえで是非とも読むべき本をあげろと言われたら、僕はノーマ・フィールドの『天皇の逝く国で』と並んで、この書物を推す。 大逆事件――死と生の群像 作者: 田中伸尚出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/05/29メディア: 単行本 クリック: 16回この商品を含むブログ (8件) を見る この本を読んでもっとも衝撃的だったのは、「大逆事件」と呼ばれる、日本国家(政治・司法・マスコミ・民衆)による巨大な謀略事件が、決して、明治に起きた過去の出来事ではなく、現在進行中の事象であるという事実だ。 明治の末に起きた「大逆事件」とは、その本質としては、社会主義思想の殲滅と、天皇を中心として戦争を行ないつづける国家体制の確立を主目的として、ほぼ全て警察・検察側の筋書きに沿って「共同謀議」がでっち上げられ、ほとんどがまったくの無実である26人が逮捕され、そのうち