9月20 神門善久『日本農業への正しい絶望法』(新潮新書) 5点 カテゴリ:社会5点 『さよならニッポン農業』(NHK生活人新書)が非常に面白かった神門善久による2冊目の新書。単純な農業保護論でも、経済学の立場からでもない提言というスタンスは変わらないのですが、東日本大震災であまりに「憂国の情」が強くなってしまったのか、今回の本は冷静な議論とはいえない部分も多く、やや残念な感じです。 著者は、日本の農業が「危機」であると考えていますが、その危機の原因を「輸入自由化」や「行き過ぎた保護」、「農協」などに見るのではなく「技能の消滅」に見ています。 近年、マスコミでたびたび農業がとり上げられ、一種の「農業ブーム」が起きていますが、そこでスポットライトの当たる新しく農業にチャレンジする人による無農薬有機栽培や、企業による「野菜工場」などは、いずれも日本の農業の強みである土づくりを始めとする「技能」