1.「神様はつらい」より引用 知識人プダフとルマータとの会話 「人間の本質は、どんなことにも慣れてしまうという驚くべき能力をもっているということですね」とプダフはゆっくりと噛みながらいった。「人間がなれることのできないものなんて自然界にはありません。馬だって、犬だって、ねずみだって、このような特性はもっていません。おそらく、神様は、人間を創るにあたって、人間がさまざまな苦しみに出会う運命にあることを推しはかって、人間にこのように大きな忍耐力の貯えをさずけたのでしょう。それが良いことか悪いことかはわかりませんけどね。もしも人間にそのような忍耐力がなかったら良い人間は1人残らずとうの昔に死に絶えてしまって、この世には、魂をもたない悪い人間ばかりになっていただろうと思いますよ。だけど、別の面から見れば、堪えしのび、順応するその習慣のために、人間は言葉をもたない家畜同然になってしまって、解剖してみ