中世には多くの都市を守っていた城壁。現在はなぜ城壁の数が激減してしまったのでしょうか?今回はそれを説明します。多くの都市で城壁が消えた理由 (ウィーンの城壁跡地に建設された環状道路) 19世紀まで残っていた城壁 19世紀に入る前までは城壁は大砲の発達にともなって無用のものとなっても保存されていた。軍事的には役にはたたなかったが要塞等の城壁と違って都市城壁には防衛という目的以外に権力誇示という役割をもっていたからである。この役割のおかげで都市の城壁は生き延びてきたわけである。自らステータスを捨てようとする人はいなかったのである。 19世紀に敵視された城壁 しかしこの事情も19世紀にはいるとがらりと変わった。城壁の構造上、僅かにかつ狭い門を通らなければ街に入ることができなかった。しかし19世紀当時はどの都市でも少なからず産業革命の影響を受けていた。物資運搬の馬車や人を乗せた馬車の交通量が激増し