序: 「文明の終焉」 の相互関係 「文明の終焉」 という場合、 少なくとも五つの異なる意味がある。 これまでに文明という呼称のもとに続いてきたものが、 (1)物理的にも現象的にも消滅もしくは衰微する (核戦争、 環境汚染、 資源枯渇など)。 (2)物理的に継続し、 現象的に転換する (価値観のパラダイム変換、 画期的技術革新など)。 (3)現象的に継続し、 物理的担い手が変わる (他種族、 コンピューターなどによる代行的継承)。 (4)物理的または現象的に継続しながらも、 文明と認知されなくなる (遙かに高度な異文明との邂逅など)。 (5)物理的または現象的に継続しながらも、 文明という概念が変質もしくは無効化する (哲学的なパラダイム変換)。 (1)~(3)は実質的終焉、 (4)(5)は名目的終焉と呼ぶことができよう。 本稿では、 比較的現実性のある(1)と(2)の論理関係を考察する。